大和言葉とはどういう意味?起源や歴史は?特徴ってなに?
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目次
大和言葉とはどういう意味?|起源・歴史について
大和言葉とは、日本に大陸文化が伝来する前から存在していた、日本固有の言語です。
人によっては「わび・さび」「あはれ」のような古めかしい言葉をイメージされるかもしれませんね。
ですが、実際には今でも日常生活で多くの和言葉が使われています。
といった身近な表現がその例ですね。
驚くかもしれませんが、大陸文化が入ってくるまでは「日本語=大和言葉」だったのです。
紀元3世紀ころに漢語が日本に伝わり(※諸説あり)、大和言葉以外の言葉が日本で使われるようになったと考えられています。
※大和言葉は「和語」と呼ばれることもありますが、学術的には区別されています。
大和言葉の特徴
音そのものに意味がある
もともと話し言葉として使われていた大和言葉には、「音」そのものに意味があります。
つまり、「あ」などのひらがな1文字ごとに意味があるということです。
例として、有名な「し」の意味を紹介します。
大和言葉では「し」には水の意味が込められています。
実際に「し」で始まる単語を見ると、その由来が理解しやすいでしょう。
- しずく(雫)
- したたる(滴る)
- しめる(湿る)
これらの単語から、「し」が水や湿り気を表すことがわかりますね。
このように、普段わたしたちが何気なく使っている言葉にも、共通の意味をもった「ひらがな1文字」が隠れていたりします。
漢字で書くと訓読みになる
大和言葉には「ほとほと」などの擬態語・擬音語のように、ひらがなだけで構成される単語も多いです。
そして、漢字を使って表される場合は訓読みされます。
最近の日常会話では、漢語ですら英語などの「外来語」にとって替わられる場面も増えていますね。
例えば、「見る」という単語では、大和言葉では訓読みをして「みる」となります。
「ケン」と読むと大和言葉ではありません。
大和言葉には、ひらがなの文字そのものに意味があるので、訓読みをすることで意味が伝わります。
多くの意味をもつ言葉が多い
大和言葉には、同じ読み方でも複数の漢字が対応する単語が多く存在します。
「みる」「なく」「あつい」など、読み方は同じでも、変換される漢字に複数のパターンが存在する単語のことです。
例えば、「かく」を例に挙げてみます。
漢字の候補としては「書く」「描く」「掻く」「欠く」がありますね。
これらは漢字の違いにより、微妙な動作のニュアンスの違いを表現しています。
ですが、本来の大和言葉としては「かく」の1単語なのです。
実は「かく」には「表面を削り取って土を掘る」ような意味があります。
改めて確認してみると、「書く」「描く」「掻く」「欠く」どれも同じようなイメージができますよね?
このように大和言葉の動詞には、元になる動きからさまざまな意味を広くカバーした単語が多くあります。
漢字によって細かく意味を分類されたことで、私たちは学校で言葉を習うときや仕事で文章を書くときに「漢字の使い分け」に苦労することになったのですね。
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具体的な物・現象を単語が多い
大和言葉には、具体的な物・現象をあらわす単語が多く、逆に抽象的な概念を表す単語は少ないです。
例えば、「つき(月)」・「みず(水)」といった “もの” をあらわす大和言葉はありますが、「自然」の概念をあらわす単語は存在しません。
古代の日本人は、身近なものや具体的な事物には名前をつけることが得意でしたが、形として表現できない抽象的な概念に対しては、単語として一般化することが難しかったようです。
この「概念をあらわす単語」の欠落した枠は、後に漢語が日本に導入されることで埋められることとなりました。
擬音語、擬態語(オノマトペ)が多い
大和言葉には、ものごとの様子や状態を表す「擬音語・擬態語(オノマトペ)」が非常に多くあります。
現在でもつかわれているオノマトペも、数えるとキリがないほど存在します。
- 「かさかさ」
- 「さらさら」
- 「しとしと」
普段からこのようなオノマトペの大和言葉を感覚的に使っている私たちですが、どうして「かさかさ」と言うのかについて説明することは難しいですね。
外国人留学生が日本語を勉強するとき、このオノマトペは大きな壁となるようです。
ラ行ではじまる単語がない
大和言葉には「ラ行」ではじまる単語がほとんどありません。
その証拠に、国語辞典で確認してみると、「ラ行」の言葉が極端に少ないことに気づくはず。
国語辞典の「ラ行」のページを開いてみると、「リンゴ」「ロウソク」など中国や欧米から入ってきた言葉が多く目につきます。
関連記事:大和言葉にラ行で始まる単語はない|日本語の不思議 >>
濁音・半濁音ではじまる単語が少ない
大和言葉には「濁音・半濁音」ではじまる単語が少なく、濁音・半濁音ではじまる名詞には「い」「う」などの音をつけることで、柔らかい響きをもつ言葉に変化させる特徴があります。
- 薔薇(ばら)→ いばら
- 抱く → いだく
大和言葉では、濁音は悪いイメージでとらえられていました。
濁音をあるかないかで、言葉の意味が逆転してしまう大和言葉も多いです。
たとえば、「きらきら」と「ぎらぎら」。
「きらきら」は綺麗に光っているニュアンスですが、「ぎらぎら」だと光りすぎていて嫌だというイメージがありますよね?
わざわざ1文字(1音)を追加することで、言葉の響きを優しくポジティブなイメージにする古来の日本人の繊細さや気品の高さがうかがえますね。
先頭の読み方が変化する
大和言葉では、複数の言葉が組み合わさるとき、前にくる単語の母音が変化するものがあります。
- 「こかげ(木陰)」=「き(木)」+「かげ(陰)」
- 「おうせ(逢瀬)」=「あう(逢う)」+「せ(瀬)」
「きかげ」よりも「こかげ」の方が、言葉の響きが柔らかく、優しい印象があり、また発音しやすいです。
このように、わざわざ1文字の母音を変化させてまで美しい響きの言葉を作り出すあたり、さすが繊細で感性豊かな日本人の心情が反映されています。
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大和言葉のトリビア
大和言葉について気になってきたあなたへ、知っていると「そうだったんだ!」と楽しい気づきを得られるトリビアを紹介します。
日本人なら誰でも知っている馴染み深い「春夏秋冬」という言葉。
もちろん「しゅんかしゅうとう」と読みましたよね?ですが、大和言葉においては「はる なつ あき ふゆ」となります。
もう少し深堀りしてみましょう。
「はる」という言葉の語源をご存知でしょうか?
「はる」は厳しい冬を越えて暖かさに包まれ、新たな生命が活動を始める季節である春を表す言葉です。
この季節には、植物たちがエネルギーに満ち溢れ、どんどん芽吹いていく様子があります。
そのため、「はる」とは「芽が張る」という意味を持ちます。
そして、春はすべての命が活動をはじめる季節であるため、「すべての命・芽が ‘はる’ 季節」という意味を込めて「はる(春)」と呼ばれるようになったのです。
以外なところに語源が隠れていて面白いですよね?
ちなみに「あき(秋)」は、「食べ物が “飽きる”くらい手に入る季節」というところが語源になっています。
これらの語源から、大和言葉には季節や自然の移り変わりが生き生きと表現されており、その背後には古代日本人の生活や感性が反映されていることがわかります。
大和言葉はいつから使われていたのか
大和言葉は日本でいつから使われていたのでしょうか?
この疑問に正確に答えることは難しいことです。
その理由は、大和言葉は太古の日本ではもともと「話し言葉」として使われていたからです。
文字としての記録がなければ、いつから言葉が存在していたのかを確かめることができません。
日本に大和言葉とは違う漢語が入ってきたのが紀元3世紀頃。(※諸説あり)
その後、漢字の音をあて、形を崩すことで「ひらがな」が誕生しました。
参考:大和言葉と万葉集の関係って?大和言葉の響きが万葉仮名で書かれているって知ってた? >>
つまり、「大和言葉がいつから使われていたのか?」という問いに対しては、「日本に漢字が入ってくるずっと前から使われていた」としか、答えようがなさそうです。
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大和言葉はやさしい風流な言葉
普段わたしたちが何気なく使っている大和言葉。
ここまで読んでくれたあなたは、きっと「もっと知りたい!」と興味を持ってくれたことでしょう。
外来語にはない、風流でやさしい響きをもつ「大和言葉」を意識することで、私たちの心はより豊かになります。
この機会に、あなたも素敵な大和言葉の世界にどっぷりとハマってみてはいかがでしょうか?
最後に、大和言葉を散りばめた文章で締めくくりたいと思います。