恋愛にまつわる大和言葉35選|片思い・両思い・夫婦に関する表現
大和言葉には恋心にまつわる素敵な表現がたくさんあります。
恋の喜びや悲しみ、切なる想いが詰まった言葉を通じて、日本の文化と繊細な感性をご紹介します。
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恋愛にまつわる大和言葉
片思いを表す言葉
心恋(うらごい)
「心恋」は、恋しく思うこと。表には出せない、心に秘めている恋心を表現しています。
恋の蛍(こいのほたる)
「恋の蛍」は、控え目でありながら恋焦がれる思いを、鳴かずに光だけを出している蛍に例えた表現。
恋草(こいぐさ)
「恋草」は、恋心を生い茂る草に例えた表現。
燃え焦がる(もえこがる)
「燃え焦がる」は、恋焦がれること。恋しくて苦しい様子を表している。
心寄す(こころよす)
「心寄す」は、相手に好意を寄せること。
焦がれる(こがれる)
「焦がれる」は、切ないほど強く思いを寄せること。恋心で身も心も焼けてしまう様子を表している。
首ったけ(くびったけ)
「首ったけ」は、異性に夢中になること。首の高さまで深くはまっている様子から生まれた表現。
面映ゆい(おもはゆい)
「面映ゆい」は、照れくさくて恥ずかしいこと。面を合わせるのがまぶしいと感じる様子から生まれた表現。
あばたもえくぼ
「あばたもえくぼ」は、「恋は盲目」という意味。好きになると、あばた(顔のブツブツ)すら気にならないということ。
思い寝(おもいね)
「思い寝」は、恋しい人のことを思いながら眠りにつくこと。
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思い人(おもいびと)
「思い人」は、恋しく思う相手(恋人)のこと。
夢人(ゆめびと)
「夢人」は、恋しくて夢の中ですら会う人のこと。
恋の淵(こいのふち)
「恋の淵」は、深い恋心のこと。恋する気持ちが深いことを「淵」と表現している。
恋衣(こいごろも)
「恋衣」は、恋する気持ちが、心から離れない「衣」に例えた表現。
思い初める(おもいそめる)
「思い初める」は、相手に恋しはじめること。
したもい
「したもい」は、秘めた恋心のこと。「下思い」が語源。
慕わしい(したわしい)
「慕わしい」は、恋しいという意味。相手に憧れる気持ちを含んでいる。
恋の端(こいのつま)
「恋の端」は、恋のきっかけのこと。「恋の発端」と考えると分かりやすい。
心移り(こころうつり)
「心移り」は、恋しい相手が別の人に変わること。現代とイメージは同じ。
方恋(かたこい)
「方恋」は、片思いのこと。
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両思いを表す言葉
相語らう(あいかたらう)
「相語らう」は、男女が親しい間柄になること。
諸恋(もろごい)
「諸恋」は、両思いのこと。「方恋」と反対の意味の言葉。
馴れ初め(なれそめ)
「馴れ初め」は、男女が親しい関係になったきっかけのこと。現代でもよく使われる表現。
逢瀬(おうせ)
「逢瀬」は、デートのこと。人目を忍んで合う意味もあり、不倫に対しても使われることがある。
恋結び(こいむすび)
「恋結び」は、恋人と離れていても関係が絶えないように、神様に願って紐などを結ぶこと。
相思い(あいおもい)
「相思い」は、二人がお互いに深く思っていること。
待つ宵(まつよい)
「待つ宵」は、来るはずの恋人をまつ夕方のこと。
夫婦関係を表す言葉
鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
「鴛鴦の契り」は、夫婦の仲が良いことの例え。雄雌がずっと一緒にいては慣れないオシドリの様子から生まれた表現。
添う(そう)
「添う」は、結婚すること。現代の感覚では「結婚」という意味は感じにくいかもしれない。
身籠る(みごもる)
「身籠る」は、妊娠すること。現代でもよく使われる表現。
走り夫婦(はしりみょうと)
「走り夫婦」は、駆け落ちして夫婦になった二人のこと。
秋風が立つ(あきかぜがたつ)
「秋風が立つ」は、愛情が薄れること。飽き と掛けている。新古今和歌集に「忘れじの 言の葉いかに なりにけむ 頼めし暮は 秋風ぞふく」という句がある。
心妻(こころづま)
「心妻」は、心の中で愛する妻のこと。
輿入れ(こしいれ)
「輿入れ」は、嫁入りのこと。大河ドラマなどで頻出する表現。
方恋づま(かたこいづま)
「方恋づま」は、亡くなった配偶者のことを思っている夫(もしくは妻)。「つま」は妻ではなく配偶者のことを表している。
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「愛」は大和言葉ではない?
「愛(あい)」という言葉は、実は大和言葉ではありません。
「あい」という読み方は音読みであり、漢語に由来しています。
つまり、漢語が日本に伝わる前から使われていた大和言葉には当てはまりません。
大和言葉としては
- 「愛でる(めでる)」
- 「愛おしい(いとおしい)」
- 「愛しむ(おしむ)」
などの訓読みで使われています。
「愛する」という言葉を大和言葉だと思っていた方も多いのではないでしょうか?
これは「愛」という漢語を「する」という動詞の形にして日本語に取り込んだ言葉なのです。
「漢語の名詞+する」という形で、昔の日本人はたくさんの新しい動詞をつくってきました。
<中略>
「愛する」もこうして漢語をもとにしてできた動詞です。
『やまとことば50音辞典』(2016年|高村史司 著)
他にも「臆する」「勉強する」などがありますね。
日常で使っている言葉のなかにも、このように漢語を動詞化させたものが多く使われていることに気付きます。
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大和言葉の恋愛表現は繊細で美しい
大和言葉は、その繊細な表現によって恋愛の情景を美しく描き出します。
恋する心の深さや切なさを端的に表す大和言葉に触れることで、恋愛の奥ゆかしさを改めて知ることができるでしょう。
日本の古典的な文学作品などを読むときに、恋愛にまつわる大和言葉を知っていると、より深く理解できるようになりますよ。