大和言葉の新幹線「のぞみ」|その由来と「ひかり」「こだま」との関係とは?
日本人にとってなじみ深い電車である新幹線のぞみ。その「のぞみ」のネーミングは、日本の伝統的な大和言葉に着想を得て命名されたことをご存知でしょうか?
また、のぞみが登場するまでの従来の新幹線「ひかり」「こだま」も大和言葉で名付けられています。
この記事では、新幹線「のぞみ」が名付けされた経緯と、その名前に込められた思いについてご紹介します。
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目次
新幹線「のぞみ」は大和言葉を意識したネーミング
東海道新幹線・山陽新幹線で走っている特急列車「のぞみ」は、大和言葉であることを意識してネーミングされました。
もともとJR東海では「きぼう(希望)」という名前をつける予定だったようです。
しかし、それまでの新幹線の列車名は大和言葉で命名されてきた流れがあったため、「希望」を大和言葉にした「のぞみ」という名前が付けられたのです。
この名前は、列車の単なる名称以上に、日本人の心に響くものであり、新幹線「のぞみ」が日本の鉄道文化や伝統と深く結びついていることを象徴しています。
当サイトで扱う大和言葉の定義については、運営者情報のページをご覧ください。
「ひかり」「こだま」も大和言葉の新幹線
新幹線「のぞみ」が登場するまでにメインで走っていた新幹線である「ひかり」と「こだま」。
このどちらも大和言葉であり、歴代の新幹線の名前が大和言葉でつけられています。
名前の由来を考えてみると、以下の通りです。
- 「ひかり」:光
- 「こだま」:木霊、つまり音
「ひかり」が日本の主要都市のみに停車し、「こだま」は各駅に停車する新幹線です。
興味深いことに、光が音よりも高速で伝わるということが、新幹線の特徴にも反映されていることが分かりますね。
また、物理的に光よりも高速で伝わる粒子・電磁波は存在しません(※諸説あり)。
そのため、新幹線「ひかり」よりも最高時速が大きい新幹線「のぞみ」を命名する際には、速さを連想させる物理的な要素の名前は採用されず、希望という概念を表す名前になったのでしょう。
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大和言葉「のぞみ」に込められた思い
新幹線「のぞみ」の命名の裏話
新幹線「のぞみ」は、どのような思いを込めて名付けされたのでしょうか?
あくまで推測ではありますが、「希望」の意味をもった「のぞみ」という名前を用いることで、デビューする特急列車に対する “期待感” を増す狙いがあったと考えられます。
東京ー新大阪間にかかる時間を、従来(「のぞみ」がデビューする前)の新幹線「ひかり」よりも20分近く短縮できる特急列車が誕生するにあたり、世間からの期待はかなり大きかったことが予想されます。
鉄道会社としても、列車の人気を獲得してデビューを成功させるために、かなりのプレッシャーがあったはずです。
そこで、お客様に対してだけではなく、会社としての「希望」も担った車両ということで「のぞみ」というネーミングになったのではないでしょうか?
漢語「希望」を大和言葉「のぞみ」のような変換の例
ヤフー知恵袋を見ていると、以下のような質問がありました。
新幹線「のぞみ」の名前が漢語の「希望」から変換されたものであるような、他の例があるかどうかを尋ねる質問です。
同じような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますので、この件について、ここで少し触れたいと思います。
新幹線「のぞみ」の名前は、漢語である「希望」を言い換えたものになりますが、同じような言い換えをする言葉の例もいくつかご紹介します。
かづけもの 被け物 | 「ご褒美」のこと。衣類であることが多い。 |
ことなし 事無し | 「無事」のこと。変わったことがなくて退屈というニュアンスもある。 |
ことほぐ 言祝ぐ | 「祝福」のこと。 |
つきのわ 月の輪 | 「満月」のこと。月にまつわる大和言葉は非常に多い↓ |
てならい 手習い | 「練習」のこと。 |
参考記事 >> 大和言葉の月にまつわる表現|満ち欠け・時間帯・季節
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新幹線「のぞみ」は大和言葉のイメージ通り日本人の希望となっている
新幹線「のぞみ」は、「希望」という漢語ではなく「のぞみ」という大和言葉にすることで、人々からの “親しみやすさ” も考慮されていたのでしょう。
その甲斐あってか、「のぞみ」は今ではすっかり日本の新幹線の定番としての地位を確立していますね。
このように、新幹線「のぞみ」が名付けされた経緯を知っていると、実際に新幹線に乗るときの楽しみや感動がより増すことでしょう。