大和言葉の時間を表す単語|時間帯・時間の長さ・時間の流れ

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古くから、日本人は自然の営みや季節の移ろいに密接に関わる生活を送り、独自の時間の捉え方を築いてきました。

太陽が昇っては沈み、季節は巡り、その一瞬一瞬が独自の意味を持っているのです。

ここでは、日本人の繊細な感覚によって表現された「時間を表す大和言葉」についてご紹介します。

時間帯を表す大和言葉の一覧

大和言葉 時間

日本では、太陽が昇っては沈んでいく様子から一日の時間帯を区切ってきました。

細かく分類すると多岐にわたりますが、ここでは現代でも馴染み深い「朝」「昼」「夕」「夜」の区分で大和言葉を取り上げていきます。

ちなみに、「一日中」という意味を表す言葉には「ひねもす」があります。

朝にまつわる大和言葉

あかつき
【夜明けの薄暗い頃】
古くに使われていた「あかとき(明時)」という言葉が転じた言葉です。
しののめ
東雲
【早朝のわずかに明るくなる頃】
「あけぼの」よりも少し前、古くは女性を訪れていた男性が帰る時間でした。
あけぼの
【夜明け】
夜がほのぼのと明ける頃の意味。「曙色」は曙の空の淡い黄赤色です。
あさまだき
朝まだき
【夜が明けきらない早朝】
「まだき」は「まだ達していない時」の意味です。
あさぼらけ
朝ぼらけ
【夜明け】
曙とほぼ同じですが、曙は春、朝ぼらけは秋冬に結びつきやすいとの説があります。
あさまどい
朝惑い
【朝寝をすること・人】
20世紀に取り上げられた比較的新しい言葉です。

昼にまつわる大和言葉

ひざかり
日盛り
【太陽が強く照っている頃】
主に日差しが強い夏に使う言葉です。
ひなか
日中
【太陽が出ている間】
漢語読みの「にっちゅう」とほぼ同じ意味ですが、「ひなか」は特に暇な時を指す場合もあります。

昼についての言葉は、太陽の様子から描き出すものが多いですね。

「ひる」そのものも、「日」と関係があるとする説があるようです。

夕方にまつわる大和言葉

たそがれ
黄昏
【日が暮れる頃】
「誰そ彼」から来たとされ、人の顔が見分けにくくなる時間帯を言います。
あまがべに
天が紅
【夕焼け雲】
夕暮れ時、空に赤く染まった雲が細長く流れる様子を指したものです。
ゆうくれない
夕紅
【夕焼け空・その色】
紅はベニバナから作った染料のような鮮やかな赤色です。
おうまがどき
逢魔が
【日暮れの薄暗い時間】
黄昏とほぼ同じ時間です。魔や禍に逢いやすい時間と考えられていました。
ひともしごろ
火点し頃
【日が暮れる頃】
昔は明かりとは火をつけるものでした。暗くなり、明かりが必要になる時間帯のことです。

美しい夕焼けを紅などの言葉で表す反面、見分けがつきにくくなる夕暮れを魔と結びつける表現もあるのが印象的ですね。

夜にまつわる大和言葉

さよ
小夜
【夜】
「さ」はあまり意味のない追加の音で、特に小さい意味ではありません。
よい
【日暮れ後しばらくの間】
かつては夜全体を宵・夜中・暁の3つに分けていて、少し長い時間を指しました。
よるのしじま
夜のしじま
【静かな夜・夜の静けさ】
「しじま」とは物音一つせず静まり返っていることです。
よもすがら
夜もすがら
【一晩中】
「すがら」は初めから終わりまでずっとの意味です。
まつよい
待つ宵
【十五夜前日の夜】
十五夜の月を待つ夜の意味です。より率直に、誰かを待っている夜の意味にも使われます。

昼の「日」のように、夜にまつわる言葉は、そのものズバリ「よ」の文字を含むものが多いですね。

時間の長さを表す大和言葉の一覧

大和言葉 時間

大和言葉には、「一瞬」や「永遠」などのような時間の長さを表現した単語がたくさんあります。

たまゆら
玉響
【わずかな時間】
宝玉が触れあうかすかな音の意味から、短い時間の意味に変わりました。
いちねん
一念
【きわめて短い時間】
仏教用語で、一刹那ほどの短い時間のことです。
としごろ
年頃
【何年か・長年】
ある程度の長さを持つ一定の期間を指します。
くおん
久遠
【遠い過去または未来】
「いつまでも続くこと」の意味もあり、ほとんど永遠に近い長い時間です。
とこしえ
永久
【いつまでも続く時間】
「とこ」は「常」であったとも言われます。単に続くだけでなく、変わらないことも含みます。

玉響は音の小ささ、久遠は距離的な遠さから、時間を語ります。上品な表現ですね。

時間の流れを表す大和言葉の一覧

大和言葉 時間

大和言葉には、時間の流れを表現する方法がいろいろとあります。その一部についてご紹介します。

移る時間とともに生じる、物事の状態や段階の変化を感じさせる表現です。
減る過去の量やめやすの量など基準となるものがあり、比べるイメージです。
去る自分の現在の位置から見て距離ができる印象を持たせます。
費やすある物事に時間をかけて取り組むことを示す表現です。
過ぎる時間が自分に近づいて来て遠ざかっていく一連の流れを表します。

日本人は客観的な時間の代わりに、風景など周囲のものから時間を感じていたとする説があります。

時間の流れに関する表現は、確かに自分の位置から主観的に見るものが多いですね。

大和言葉には時間を表す単語がたくさんある

大和言葉 時間

この記事では「朝」「昼」「夕」「夜」など、一日の時間を細かく分ける大和言葉をたくさんご紹介してきました。

さまざまな言い回しで、時間の微妙なニュアンスの違いがうまく表現されています。

昔から、日本人は時間に対して繊細な価値観をもっていたことが分かりますね。

古くから日本人が培ってきた時間に対する繊細な価値観を意識すると、私たちが使っている言葉の奥深さを実感できることでしょう。

参考:大和言葉の季節にまつわる表現【春夏秋冬ごとに一覧あり】 >>

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