水を表す大和言葉の一覧
日本語にはたくさんの言葉がありますが、その中でも特に「水」を表す言葉は、古来からの日本人の文化や自然に深く根ざしています。
その表現は多岐にわたり、微妙なニュアンスの違いを伝えるための多種多様な言葉が存在します。
この記事では、そんな「水」に関する大和言葉についてご紹介します。
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大和言葉は水を「し」で表す
大和言葉には「水」を表す表現がたくさんありますが、なかでも重要な言葉の一つが「し」です。
この「し」という音は古くから日本に存在し、水や湖、海などの自然界にある水を表してきました。
そして、それ以外にも、人々の暮らしにおける水の重要性や清らかさ、澄んだ姿を表現することでも使われます。
「し」を含む、水を表す大和言葉の例をご紹介します。
- 雫(しずく)
- 滴る(したたる)
- 湿る(しめる)
- 沈む(しずむ)
- 染みる(しみる)
私たちが何気なく使っている言葉の中に、水を表す「し」がたくさん隠れていることに気づきますね。
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水を含む大和言葉の一覧
「水」という文字を含んだ大和言葉についてご紹介します。
みずにながす 水に流す | 【過去に起こったことを、なかったことにする】 水を流せば何でも綺麗にできることを、昔の日本人もよく理解していたことが分かります。 |
みずまり 水鞠 | 【飛び散る水玉のようなもの】 飛び散る水しぶきの様子を鞠に例えていて、かわいらしさを感じます。 |
みずをむける 水を向ける | 【相手があることを話し始めるように仕向ける】 巫女が生霊や死霊を呼び出すときに、水を差し向けたことが由来となっています。 |
みずぎわだつ 水際立つ | 【他のものと区別されて、とても目立つ】 「際立つ」よりも更に賞賛を強調した表現で、水際がはっきり見える意が由来です。 |
たまみず 玉水 | 【清らかな水や滝。雨だれなどの水滴の美称】 水や雨だれを美しく表現することができます。 |
おとしみず 落とし水 | 【稲刈りの前に、田を干すために流し出す水のこと】 流す水のことを「落とす」と表現するのが面白いです。俳句では、9月の季語として使われます。 |
うちみず 打ち水 | 【道や庭に水をまき、土埃を防いだりすること】 涼を得るための日本人の知恵です。江戸時代以前では「神様の通る道を清める」という意味もありました。 |
でみず 出水 | 【雨で河川の水が増えて、あふれ出ること】 洪水と同じ意味合いです。現代でも「しゅっすい」という読み方で使われています。 |
にげみず 逃げ水 | 【晴れた暑い日に、道路などで見られる、遠くに水があるように見える現象のこと】 近づくと遠のいていくので、まるで水が逃げていくように見えることからこの表現となりました。 |
みずぬるむ 水温む | 【春になり、水の温かさが増すこと】 春の季語です。季節の変わり目がうまく表現されていますね。 |
みずのあわ 水の泡 | 【努力や苦労がすべて無駄になること】 現代でもよく使われる表現ですね。由来は、江戸時代の小説集「談義本」の「根無草」と言われています。 |
みずをえたさかな 水を得た魚 | 【自分に合った環境や得意な状況になり、生き生きとしている様子】 似た表現に「水に放たれた魚のよう」「如魚得水」といったものがあります。 |
みずをさす 水を差す | 【うまくいっていることに対し、横から邪魔をすること】 「ちょうどいい温度のお湯や料理に水を注ぐこと」が由来です。 |
やけいしにみず 焼け石に水 | 【ほんの少しの努力や援助では何の役にも立たないこと】 熱い石に少しの水をかけてもすぐに蒸発してしまい、変化が起こらない様子から、うまく連想された言葉です。 |
ねみみにみず 寝耳に水 | 【思いもよらないことが起こること】 「寝ているときに、耳に水が入って驚いた」のではなく、水は「洪水の音」を表しています。 |
みずいらず 水入らず | 【身内のみで、他者を交えないこと。親しい間柄に邪魔のない状態】 日本式の酒の飲み方である「杯洗」が由来です。「油に水が入っていない状態」が由来だという説もあります。 |
みずもぬらさぬ 水も濡らさぬ | 【警戒が厳重で完全な様子】 付け入る隙がないことをうまく表現しています。 |
日本語には、ここに記載しきれないほど「水」に関する大和言葉がたくさん存在します。
昔の日本人にとって、いかに水が身近に存在し、重要なものであったのかが分かります。
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水に関連する大和言葉の一覧
「水」という文字は含まないものの、水にまつわる意味を持つ大和言葉についてご紹介します。
うたかた 泡沫 | 【水面に浮かぶ泡のこと】 漢字や響きからもはかなさが伝わります。 |
みぎわまさる 汀まさる | 【涙がとめどなくあふれる】 「汀」とは水際や水辺のことです。 |
すみ 澄み | 【水や空気などに濁りがなく、透き通った状態】 水や空気のほかに、光や色、音など様々な状況で使うことができます。 |
なみのあや 波の綾 | 【波によって作られる水面の模様】 波のようすを綾織物にたとえています。 |
うすらい 薄氷 | 【春先に見られる、すぐに割れてしまう薄い氷のこと】 解け残った薄い氷のことも表します。冬の氷との違いを感じますね。 |
つゆ 露 | 【つゆのように、はかないもの】 消えやすく、壊れやすい様子をよく表しています。 |
美しい響きで、水の状態を繊細に、そしてこまかく捉えている言葉が多かったですね。
水というのは、生きていく上で欠かせないものです。
昔から、日本人が水に対して意識を向け、その様子を観察し続けていたことが分かります。
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水を連想させる大和言葉のオノマトペ
じゃぶじゃぶ | 【勢いよく水をかきまぜたり、すすいだりする様子】 水中を歩いている様子を表すときにもぴったりな表現です。 |
じめじめ | 【湿り気が多く、不快なさま】 暗く、陰湿な雰囲気をよく表していますね。 |
ずぶずぶ | 【水や泥に沈むさま。柔らかい物の中に深く付き入る様子】 一度入ったら抜けるのが難しいことから、密接な関係を表すときにも使われています。 |
さらさら | 【物事がつかえないで進むさま。湿り気などがなく、べとべとしないさま】 音の響きからも、様子や質感が伝わりますね。 |
しとしと | 【雨が静かに降るさま】 雨の強さとやわらかな雰囲気がうまく表現されています。 |
ここに挙げたのは、水に関するオノマトペの一部に過ぎません。実際には数えきれないほどの表現があります。
水の様子を表すこれらの言葉には
- 水の中で何をしているのか
- 水がどのようになっているのか
について、うまく表現されているものばかりです。
音の響きからも、状態や雰囲気が目に浮かぶようですね。
オノマトペの歴史はとても深く、「古事記」や「万葉集」の頃からありました。
数もとても多く、日本人は昔から物事の様子を丁寧かつ繊細に捉えていたことが分かります。
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水を表現する大和言葉はたくさんある
この記事では「水」に関する大和言葉について、たくさんご紹介しました。
これらの言葉は日本人の生活や文化に深く根ざし、日常会話や文学、詩歌などでも広く使われています。
この機会に、あなたが普段から話している言葉のなかに、「水」に関する大和言葉が含まれていないか意識してみてはいかがでしょうか?
知らず知らずのうちに「水」にまつわる表現を多用していることに気づくことでしょう。
◆「水」を含んだ美しい四字熟語もありますよ♪ あなたが知っているものはありますか?