大和言葉のような四字熟語|自然の美しさを表す表現15選
日本で知られている四字熟語は、中国の漢字をもとにして発展してきました。
日本古来の伝統ある大和言葉にも四字熟語は存在するのでしょうか?
この記事で大和言葉と四字熟語について深堀りしていきます。
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目次
大和言葉に四字熟語はない
大和言葉とは、古くから日本で話し言葉として使われていた言語をもとに発展し、中国や欧米から入ってきた言葉である「漢語」「外来語」とは区別されます。
つまり、中国から感じが伝わる前から存在していた言葉が「大和言葉」なのであり、四つの漢字を組み合わせて意味を持たせた四字熟語は存在しないのです。
<備考>
「覚えておきたい美しい大和言葉」(日本の言葉研究所 著|大和書房)には、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」という人の内臓を指す意味の単語が大和言葉として紹介されています。
本記事では、「漢語は大和言葉ではない」という基準を元に、中国の漢方・医学に由来する「五臓六腑」という単語は大和言葉の四字熟語ではないという判断をいたしました。
大和言葉っぽい四字熟語の一覧
「大和言葉には四字熟語が存在しない」という結論だけでは物足りないので、大和言葉らしい雰囲気を醸し出す四字熟語をご紹介します。
大和言葉は自然に対する繊細な価値観を感じさせる言葉が豊かであり、ここではその一端を垣間見ることができる四字熟語を厳選しました。
自然の美しさや豊かさを表す四字熟語が多く含まれていますので、ぜひあなたのお気に入りを見つけてみてくださいね。
鳳鳴朝陽(ほうめいちょうよう)
世の中が平和であることを示す、めでたいしるしのこと。
「元旦に鳳凰が朝日に向かって鳴くと縁起がいい」という言い伝えに由来します。
花鳥風月(かちょうふうげつ)
自然の美しい景色・光景のこと。また、そのような自然を風流に楽しむこと。
室町時代の能『風姿花伝(ふうしかでん)』(世阿弥)に由来します。
鏡花水月(きょうかすいげつ)
目にうつる美しいものが手に取ることができないこと。
「鏡に映った花」も「水面に浮かんだ月」のどちらも、手で掴むことはできないことに由来します。
飛花落葉(ひからくよう)
世の中が絶えず変化していく「無常」を表す言葉。
綺麗に咲いた花も風に吹かれて散ってしまい、青々としていた葉もいずれ枯れて落ちることに由来します。
清風明月(せいふうめいげつ)
月が明るく、静かで清らかな夜の様子を表します。
気持ちの良い清らかな風が吹き、明るく美しい月が出ている景色に由来します。
風光明媚(ふうこうめいび)
自然の景色が美しく素晴らしいこと。
「風光」が自然の景色のことを指し、「明媚」は美しいことを説明しています。
山紫水明(さんしすいめい)
自然の風景が清らかで美しいこと。
日に照らされた山が紫色に見えて、川が清らかに流れて住んでいることに由来します。
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百花繚乱(ひゃっかりょうらん)
さまざまな花が咲き乱れていることを表します。
満開になり、入り乱れて咲き誇っている印象を与えます。
桜花爛漫(おうからんまん)
桜の花が満開になり、見事に咲き乱れている様子を表します。
「桜花爛漫の候 ~~」のように、春の時候の挨拶としても使われます。
桜梅桃李(おうばいとうり)
自分らしく生きること、現代風に言えばオンリーワンを表す言葉です。
サクラ、ウメ、モモ、スモモのそれぞれが独自の花を咲かせることが由来です。
夢幻泡影(むげんほうえい)
人生がはかないことを表す仏教の用語。
夢・幻・泡・影、すべて実体がなく壊れやすいことが由来です。
柳緑花紅(りゅうりょくかこう)
人の手が加えられていない、ありのままで美しい自然の姿を表します。
柳は緑色をしていて、花は紅色をしている姿を、あるがままに受け入れることに由来します。
和風慶雲(わふうけいうん)
穏やかな性格の人格者のことを表す言葉です。
和やかな風と、慶ばしいことの前兆である雲のような存在という意味をもちます。
雪月風花(せつげつふうか)
美しい四季ごとの風景のこと。
「雪」は冬、「月」は秋、「風」は嵐を意味して夏、「花」は春をそれぞれ表現しています。
千紫万紅(せんしばんこう)
さまざまな色の花が咲き乱れる様子を表します。
彩りが鮮やかな様子の例えとしても使われます。
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大和言葉は四字熟語にはない魅力が満載
ここまで、自然の美しさを表す四字熟語を中心に紹介してきました。
四つの漢字を組み合わせるだけで、世界の素晴らしさを見事に表現できる四字熟語の表現力は驚くべきものです。
しかし、四字熟語が存在しない大和言葉が表現力に乏しいかと言うと、そうではありません。
むしろ、大和言葉は四字熟語とは異なる独自の魅力を持ち、その柔らかな響きや色とりどりの表現によって、世界の美しさや素晴らしさを豊かに表現します。
四字熟語を取り入れつつ、大和言葉に特有の優しさや旋律を楽しむことで、より豊かな言葉の世界を体験できるでしょう。