大和言葉でありがとうを伝えよう|お礼を表す言い回し
日本古来から伝わる大和言葉には、感謝の気持ちを美しく、そして深く表現するための豊かな言葉が数多く存在します。
今回は、その中からいくつかの表現をご紹介し、日本語の美しさと心の温かさを共有したいと思います。
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目次
大和言葉のありがとうの言い回し
有り難い
こんなことは滅多にない、つまり「有り難い」という意味が由来となっています。
現代で頻繁に使われる「ありがとう」の語源として有名ですね。
いつもお世話になっている上司・先輩に対して「ご指導いただき、本当に有り難く思っています」と表現すると、あなたが本心から感謝していることが伝わるでしょう。
恐れ入る
自分の体調を気にかけてくれた上司に対して「ご心配いただき、恐れ入ります」と返せるとスマートです。
痛み入る
「痛み入る」は相手の親切心や好意に対して、気が痛むほど感謝していることを表します。
目上の人や取引先などに対して使うことが多いです。
来客があったときに「わざわざお越しいただき、痛み入ります」などと使うと良いでしょう。
日常会話で使うと、かしこまりすぎて逆にふざけているのではないかと思われる可能性があります。
何に対して感謝しているのかを具体的に示した方が無難です。
かたじけない
「かたじけない」は相手への感謝や恩義を表す言葉です。「ありがたくて申し訳ない」という意味を含みます。
自分より身分の高い相手に対して使われることが多いです。
取引先の相手から親切にしてもらった際に「かたじけないお心遣い、どうもありがとうございました」と伝えると良い関係を築けるでしょう。
恩に着る
「恩に着る」は人の親切心に対して、恩恵を受け入れて感謝する言葉です。
現代では「いつかお礼をさせてほしい」というようなニュアンスも浸透しています。
イベントなどの運営側として挨拶をする際に「皆様のお力添え、心から恩に着させていただきます」などと表現すると、あなたの感謝の気持ちを丁寧に伝えられます。
お礼の言葉もない
「お礼の言葉もない」は感謝の気持ちを表せる言葉が見つからないという意味です。
それほど深く感謝していることを伝えます。
取引先に対して「急なスケジュール変更に応じてくださり、お礼の言葉もございません」などと使うと良いでしょう。
頭が上がらない
「頭が上がらない」は相手に対する深い感謝の気持ちを伝えます。
いつもお世話になっている目上の人に対して「先生のご指導には、本当に頭が上がりません」と言うと、あなたがいつも感謝の気持ちを抱いていることが伝わります。
足を向けて寝られない
「足を向けて寝られない」は相手に対する尊敬の意味を含んだ感謝を表します。
お世話になっている人に対して、足を向けて寝るという失礼な行為はできない、ということです。
職場の雑談で家族についての話題になった際には、「ここまで育ててくれた両親には、足を向けて寝られません」と言うと、上司や同僚から良い印象をもってもらえるでしょう。
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大和言葉でお礼を謙遜して伝える表現
嬉しゅうございます
「嬉しゅうございます」は「嬉しいです」を柔らかく表現した言い回しです。
いっけん古風な印象もありますが、営業先やフォーマルな場で使えると、あなたの品の良さをアピールできます。
お買い被りを
「お買い被りを」は目上の人から自分の能力について褒められたときに「過大評価ですよ」と伝える謙虚な言葉です。
否定しているわけではなく、褒めてもらえて嬉しいという感謝のニュアンスも隠れています。
おからかいを
「お買い被りを」と似た意味ですが、「おからかいを」はおもに自分の容姿について褒められたときに使います。
「ほめ過ぎですよ」という意味を謙虚に伝えます。
お戯れを
「おからかいを」と似た意味ですが、「お戯れを」は相手がしつこく褒めてきたときに使われることがあります。
お礼と併せて使いたい大和言葉
謹んで
「謹んで」は相手にお礼の言葉を伝えるときに、謙虚で丁寧な姿勢を表現する言葉です。
「謹んでお礼申し上げます」などと使われることが多いです。
お引き立て
「お引き立て」は取引先に対してお礼を言うときに、よく使われる表現です。
「いつも “ひいき” にしてくれてありがとう」という意味があります。
「いつもお引き立ていただき、誠にありがとうございます」と言うと、取引先と良い信頼関係が築けるでしょう。
ひとえに
「ひとえに」は相手に対する深い感謝を伝えるときに使われる表現です。
「私がここまで努力してこられたのは、ひとえに応援してくださった皆様のおかげです」という言い回しができると、より多くの人からの支援を受けられるようになるはずです。
ひとかたならぬ
「ひとかたならぬ」は感謝の気持ちを表すときに、「他のものとは比べられないほど特別な感謝をしている」という深い意味を込めることができます。
フォーマルな場で人への感謝を示したいときに「ひとかたならぬご支援をいただき、誠にありがとうございます」と表現すると良いでしょう。
骨折り(ほねおり)
「骨折り」は目的を達成するために自ら努力や苦労をすることを指します。
相手が手助けしてくれたときに「お骨折り」してくれたことへの感謝を示すという使い方が多いです。
「お骨折りいただきまして、誠にありがとうございます」と表現すると、相手が苦労し行動してくれたことに対する感謝を丁寧に伝えられます。
身に余る
「身に余る」は「自分にはもったいないくらい」という意味があります。
目上の人から褒められたときに「身に余るお言葉をいただき、ありがとうございます」などと返すと上品さが伝わります。
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大和言葉「ありがとう」の本当の意味
「ありがとう」は現代と意味合いが違った
あなたは、普段なんとなく使っている「ありがとう」の本当の意味をご存知でしょうか?
現代では、相手に対する感謝を表すときの一般的な言葉として定着していますが、「ありがとう」のもともとの意味は少し違っていました。
「有り難い」という言葉からできたことは、先ほど「有り難し」の項目でご紹介しましたね。
これは神仏などの自分ではコントロールできない第三者的な存在に対して「有り難し」と感じる気持ちを表していたのです。
古来の日本人は、言葉では言い表せないような綺麗な光景、神秘的な現象に出くわしたときに「こんなことは滅多にない。有り難い」という感情を抱いていたようです。
本当の意味を知っておくと、誰かに「ありがとう」を伝えるときに、より心を込めた感謝を伝えることができるでしょう。
「礼」は大和言葉ではなかった
「ありがとう」の由来に関する話題のついでに、「礼」という言葉についてもご紹介しておきます。
意外なことに「礼」は大和言葉ではありません。
「れい」は音読みであり、漢語が由来となっています。
日本人は礼節を重んじるとよく言われますが、「礼」そのものは古来の日本にはなかったのです。
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大和言葉でありがとうを伝えよう
大和言葉には、感謝の気持ちを言葉に乗せて贈ることができる美しい表現がたくさんあります。
これらの言葉は、謙虚さと尊敬の心を相手に伝え、人と人とのつながりを深めていく力を秘めています。
日本語が持つこの温かな表現力を通じて、私たちはお互いに敬意を払い感謝の気持ちを伝えることで、心豊かなつながりを築いていけることでしょう。
感謝を表現する大和言葉は、私たちの日常に豊かな色を添えてくれるのです。