大和言葉の前向きな表現|めでたい・楽しい・幸せを表す言い回しをまとめました
人生には様々な試練や挑戦がありますが、それらに立ち向かうためには前向きな気持ちが欠かせません。
古来より、日本の文化や言葉には、そのような前向きな気持ちを表現する言葉が数多く存在します。
これらの大和言葉は、時には励ましや勇気付けの意味を持ち、私たちの心を奮い立たせてくれる存在です。
今回は、その中から特に代表的な大和言葉をいくつかご紹介しましょう。
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大和言葉の前向きな表現まとめ
前向きな意味をもつ大和言葉を、以下の
- 「めでたい」
- 「楽しい」
- 「幸せ」
の3つの気持ちに分けて、それぞれリストアップしてみました。
「めでたい」を表す大和言葉
「めでたい」という感情を含んだ表現は以下の通りです。
越したことはない | 「そうするのが最も良い」「それ以上のものはない」という意味。 |
ことほぐ 言祝ぐ | 「言葉で祝う」という意味。 |
ことぶき 寿 | 「めでたいこと、祝うこと」の意味。上の「言祝ぐ」が語源と言われている。 |
もっけの幸い | 「ラッキー」ということ。 |
直接的に「めでたい」気持ちを表現しているのは、「言祝ぐ(ことほぐ)」という言葉だと言えます。
「寿(ことぶき)」については、語源について初めて知ったという方も多いのではないでしょうか?
普段何気なく使っている言葉の由来を知ると、日常のなかに新たな発見が生まれて楽しく暮らせるようになります。
「楽しい」を表す大和言葉
「楽しい」気持ちを含んだ大和言葉の表現は以下の通りです。
うまし 旨し | 「楽しい」という意味。現代と同じように「美味しい」という意味もある。 |
楽しゅうございました | 目上の人に対して「楽しかったです」と伝える言葉。 |
月の客 | 月見を楽しむために外に出てきた人のこと。 |
山笑う | 春になって草木が芽吹き、ウキウキしている気持ちを表す。 |
「旨し(うまし)」は、食べ物についての意味しかないように、私たち現代人は感じてしまいますね。
「楽しい」という気持ちを表す言葉だったというのは、意外に感じたのではないでしょうか?
直接的に「楽しい」という気持ちを相手に伝える言葉は「楽しゅうございました」になります。
丁寧さ・上品さを伝えられる言葉ですが、目上の人以外に使ってしまうと、場違いになり逆効果ですので気を付けましょう。
楽しい気持ちに関する表現のなかで、筆者が特に気に入っているのは「月の客」という言葉です。
月見を楽しむために、夜にわざわざ家から出歩いてきた人のことを指しています。
どうして気に入っているのかというと、昔の日本人の価値観が伺えるからです。
昔の日本を想像してみると、現代のような街頭なんて整っていないので、夜の街は真っ暗なはずです。
日が沈んでしまったら、何も見えない外で仕事も遊びもできないので、普通は家から出ないと思います。
ですが「月の客」という言葉が存在することは、当時月見をするためだけにわざわざ家から出てくる人が居たということ。
昔の日本人にとっての「月見」は、現代のようなテレビやスマホなどの娯楽がなかった時代における、ささやかな楽しみだったんだと分かるので、この「月の客」という言葉が好きです。
「客」という表現が、月に誘われて出歩いてしまった様子を伝えているので、また面白いなと感じます。
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「幸せ」な気持ちを含む大和言葉
「幸せ」という気持ちを含んだ大和言葉は、以下の通りです。
しあわせ 仕合わせ | 運が良いこと、満ち足りた気分であること。 |
さつきばれ 五月晴れ | 旧暦の梅雨の時期に垣間見える晴れのこと。 |
あきびより 秋日和 | 秋晴れのお出かけ日和のこと。秋晴れも同じ意味。 |
いたし 甚し | 素晴らしいを意味する言葉。 |
うるおう 潤う | 「豊かになる」という意味。 |
そらのかがみ 空の鏡 | 秋の夜に、鏡のように澄んで見える名月のこと |
みずぬるむ 水温む | 春に水が温かく感じること |
直接的に「幸せ」という気持ちを表すのは、文字通り「仕合わせ」という言葉です。
ただ、「幸福」の「幸」という字があてられるようになったのは、江戸時代以降だと言われています。
もともとは、「物事のめぐりが良いこと」を表していたため、「仕合わせ」という漢字表記だったようです。
最初から「幸せ」という表記ではなかったという事実に、筆者は驚きました。
「幸せ」は英語に訳すと Happy となりますが、「物事のめぐりが良いために、自分の気持ちが満たされている」というニュアンスを考えると、実は Happy だけでは言い表すことができない、複雑で繊細な感情を表現している言葉なんだと気づかされます。
また、昔の日本人は「月見」をとても楽しみに日々を暮らしていました。そのため、「空の鏡」のような名月を表す言葉にも「幸せ」な気持ちが含まれていると言えるでしょう。
ちなみに、いかに昔の日本人が「月見」を愛していたかは、月にまつわる大和言葉の豊富さを知れば納得してもらえるはずです。
「月人(つきひと)」なんていう、月を人に見立てた擬人化表現まであるくらいですから。
ぜひこちらの記事↓も併せてご覧ください。
参考記事 >> 大和言葉の月にまつわる表現|満ち欠け・時間帯・季節
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大和言葉で前向きな気持ちを表現しよう
この記事では、「めでたい」「楽しい」「幸せ」という感情ごとに前向きな気持ちを表す大和言葉を紹介しました。
古来から伝わる大和言葉は、時代を超えて私たちの心を豊かにし、前向きな気持ちを育んでくれます。
日常の中でこれらの前向きな気持ちを表す言葉を活用することで、自分んいも周囲の人々にもポジティブなエネルギーを与えてあげることができるでしょう。
当サイト「大和言葉なび」では、日常生活に取り入れたい大和言葉を一覧のデータベースにして紹介しています。
この機会にぜひご活用していただき、大和言葉の知識を深めて教養を高めるためにお役立ていただければと思います。