大和言葉の自然・季節の単語一覧|「自然」の表現はなかった?
大和言葉とは、漢語や外来語が入ってくる前から、日本で使われてきた言葉のことです。
大和言葉には、自然や季節を表す単語はあったのでしょうか?ご紹介します。
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大和言葉の自然・季節を表す単語
太陽・月・星の大和言葉
あまつひ 天つ日 | 【太陽】 「天つ」は「天の~」という意味。 |
さんごのつき 三五月 | 【満月・名月】 「 3×5=15 」ということから。 |
えんげつ 偃月 | 【半月】 半分の見た目の月のこと。 |
ほしのはやし 星の林 | 【多くの量】 多いことを林に例えている。 |
見た目や日付をうまく言葉にして表現していますね。
さらに詳しい記事:大和言葉の月にまつわる表現|満ち欠け・時間帯・季節 >>
花の大和言葉
きざす 萌す | 【満を持してことに当たる】 「萌」には物事が起こり始めるという意味がある。 |
ゑむ 笑む | 【花が咲く】 特に百合の花が咲くことを表している。 |
ほころびる 綻びる | 【いよいよ蕾が咲きそうな状態】 解ける(ほどける)の古語である、解ぐ(ほぐ)が由来。 |
わすればな 忘れ花 | 【遅れて咲く花】 返り咲きの花という意味もある。 |
くるいざき 狂い咲き | 【季節外れに咲く花】 わずかな期間だけ、盛りのような状態になることという意味もある。 |
意味を知った上で、花の大和言葉を見ると、花が咲く様子を繊細に、そしてうまく比喩してることが分かりますね。
さらに詳しい記事:大和言葉の花にまつわる表現一覧|花と鼻の語源は同じ?
春の大和言葉
うすらい 薄氷 | 【春先に薄く張った氷】 厚い氷でないことが、春が近づいていることを表している。 |
やまわらう 山笑う | 【春になって草木が芽吹くこと】 俳句の季語としても使われている。 |
むぎふみ 麦踏み | 【春に、麦の芽を踏みつけること】 麦の芽を踏みつけることで生育がよくなることから。 |
こち 東風 | 【春に吹く東からの風】 語源である「ひむかち」が「こち」に変化したという説がある。 |
このめかぜ 木の芽風 | 【春風】 木の芽も芽を出す春の風という意味。 |
はるはやて 春疾風 | 【激しい春の突風】 春一番をはじめとした、春先の強い風のこと。 |
はなのあめ 花の雨 | 【桜が咲く時期に降る雨】 桜に降り注ぐ雨という意味もある。 |
草木が芽吹き、虫たちも顔を出す春。うららかな気候がうまく表現されています。
さらに詳しい記事:大和言葉の季節にまつわる表現【春夏秋冬ごとに一覧あり】>>
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夏の大和言葉
あおあらし 青嵐 | 【初夏に吹く強い風】 俳句の季語としても使われている。 |
さつきばれ 五月晴れ | 【梅雨の時期に垣間見える晴れのこと】 旧暦の5月は現代でいうと梅雨の時期にあたる。 |
あかふじ 赤富士 | 【夏の早朝に朝日で赤く染まった富士山】 限られた条件でしか見られず珍しい。 |
はしい 端居 | 【夏に縁側で過ごすこと】 俳句の季語としても使われている。 |
はすみ 蓮見 | 【夏の早朝に開く蓮の花を見に行くこと】 蓮の花は夜は閉じて、朝になり開く。 |
うつせみ 空蝉 | 【蝉の抜け殻】 同じ音の「現身(うつしみ)」から「この世」や「現世の人々」という意味もある。 |
むらさめ 群雨 | 【夏の強くなったり弱くなったりする雨】 にわか雨や通り雨という意味。 |
かやりび 蚊遣り火 | 【蚊取り線香】 当時は、虫が嫌がるヨモギの葉や松の青葉などを火にくべて、いぶした煙で蚊を追い払っていた。 |
夏の始まりから、夏本番、そして秋に近づくまで、暑いだけではない、夏の様々な表情がうまく表現されています。
さらに詳しい記事:大和言葉の季節にまつわる表現【春夏秋冬ごとに一覧あり】>>
秋の大和言葉
あきのかがみぐさ 秋の鏡草 | 【アサガオ】 春の鏡草は大根、冬の鏡草は松を表す。 |
のわき 野分 | 【秋から冬に吹く風】 台風という意味もある。 |
あきおうぎ 秋扇 | 【秋になり扇が放置されている様子】 男性の愛を失った女性のたとえとしても使われている。 |
おちあゆ 落鮎 | 【秋になり産卵を終え、川を下る鮎】 俳句の季語としても使われている。 |
かりわたし 雁渡し | 【秋に吹く北風】 もとは伊豆や伊勢の漁師の方言。 |
くさもみじ 草紅葉 | 【秋になって紅葉した草のこと】 俳句の季語としても使われている。 |
次第に日が短くなり、寒さが増す秋。そんな季節の移り変わりを風や草木の様子で表現し、伝えています。
さらに詳しい記事:大和言葉の季節にまつわる表現【春夏秋冬ごとに一覧あり】>>
冬の大和言葉
つきごもり 月籠り | 【月末】 「つごもり」とも呼ばれる。 |
てんか 天花 | 【雪】 雪を天から降る花と表現した。 |
こがらし 木枯らし | 【木の葉を散らす冬の強い風】 俳句の季語としても使われている。 |
かれの 枯野 | 【草が枯れた冬の野原】 俳句の季語としても使われている。 |
こはるびより 小春日和 | 【冬の暖かい一日】 類義語に「小春日」や「小春空」などがある。 |
なごりのそら 名残の空 | 【大晦日の空のこと】 去り行く年を名残惜しむ意味が込められている。 |
おさがり 御降り | 【三が日に降る雨】 三が日のうちに雨や雪が降れば、豊年のしるしで、めでたいものとされていた。 |
かざはな 風花 | 【風に乗って飛んでくる雪】 初冬ころの晴れた日に降る雪の様子を表している。 |
天気や気候だけでなく、季節の行事についても、比喩表現を用いてうまく表現されていますね。
さらに詳しい記事:大和言葉の季節にまつわる表現【春夏秋冬ごとに一覧あり】>>
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大和言葉に「自然」を表す単語はなかった?
大和言葉には、「自然」を表す単語はありません。しかし、大和言葉には自然に関する具体的な表現がたくさんあります。
例えば、雨が降る様子一つを表現するにしても、「時雨」、「ひとしぼり」、「遣らずの雨」など、数多くの単語があるのです。
「自然」を表す大和言葉は、強いて言うのであれば、「おのずから」が一番近い表現かもしれません。
「おのずから」は、「自然のなりゆきのままで」、「偶然に」という無常の意味でも使われていました。
大和言葉には自然・季節の表現がたくさんある
大和言葉の自然や季節を表す単語についてご紹介しました。
大和言葉には、自然や季節に関する具体的な表現がたくさんあります。
どの単語も、耳にしただけでその光景が目に浮かぶような、絶妙なニュアンスのものばかりですよね。
普段の生活でも、自然や季節を表す大和言葉を意識してみることで、心豊かに過ごせるでしょう。
うまく会話に大和言葉を取り入れることで、
「お、この人は教養が深そうだな」と、あなたの品格をアピールでき、好感度をぐっと高めることができますよ。